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バトルに「正解」は必要か? ペーパーマリオ オリガミキングレビュー【感想/レビュー】

2020 9/02
バトルに「正解」は必要か? ペーパーマリオ オリガミキングレビュー【感想/レビュー】

7/17に発売された話題作、「ペーパーマリオ オリガミキング」。
ペーパーマリオの名を冠する、注目度も高いタイトルがとうとう発売となりました。

過去の“ペーパーマリオ”と比較しても “紙である” ことを推した演出、プレイである今作。
ゲーム開発者としての視点も入れつつ、ネタバレには配慮しながら感想を書いていきたいと思います。

個人的には、記事タイトルにもある “バトル(ザコ戦)に一つの正解を作ってしまったこと” 、そしてその押しつけが繰り返されるがどうなのかなぁと感じる次第。
ただゲーム全体を通すと、ザコ戦に不満がある以外はとても楽しい作品です

この手の記事ってアクセス稼ぎのためにべた褒めだったりするのを見かけるんですが、そんなことで自分の考えは変えたくないので
フォローはあれど感じたことは書いていくスタイル。
  

目次

ちょっとしたホラー?ペラペラ折り紙の世界観

皆さん恐らく公式の情報を見られていることでしょうし、ご存知かと思いますが
今作はペラペラペーパーなマリオたちと折り紙のキャラクター、そして紙で作られたペーパークラフトな世界観で構築されています。
3Dマップを移動するので奥行きも感じられますよ。
 

戦う相手は、オリー王によって生み出されたオリガミ兵。
ピーチ姫や、今作では仲良しっぽいおなじみの敵キャラクター達(クリボーなど)は、謎の機械でオリガミにされ悪の意識に囚われてしまいます。
オリガミにされてしまったピーチ姫を救う為、オリー王の野望を食い止めろ!

っていう話なんですけど、このオープニングシナリオがそこそこホラー。
是非その目で、マリオシリーズに「ひえぇ‥‥」と感じる展開を楽しんでください

ストーリーは一旦置いておいて、マップが紙で作られているのは良いですね。
3Dマップを駆け回りながら謎を解いていく要素もあるのですが、紙の工作で作られたようなマップというのは、小さな子供でも「めくれてる!」「穴が開いてる!」「点線がある!」というような自然な違和感を見つけやすいわけです。

普通のマップに目印をつけるのと効果は同じですが、ゲームと日常が結びつくことで、特に子供達は没入感が高まることかと思います
ヨッシークラフトワールドも似た意図で作られていたんじゃないでしょうか。ただあちらよりもプレイの自由度が高いので、ステージデザインも色々出来そうですしプレイが楽しみですね。

仲間では、マリオに付き添ってくれるオリビア(オリーの妹)が良いキャラをしています。
世間知らずな可愛らしい性格と、折り紙能力で色々な変身を行える有能っぷりは終盤まで目が離せなさそうです。
 

ルイージくんはオープニングでおさらばです

バトルは面白いがすぐ飽きる?パターンの少なさと戦略性の無さ

「面白そう」「つまらない」賛否あるスライドパズルなバトルシステム

パッと見おもしろそう、というか面白くなっていきそうな期待が持てつつも、今のところ「つまらない」との声も多いのがバトルです。
これは恐らく動画の方が分かりやすいので、まだバトル内容を知らない方は以下の公式CM動画をご覧ください。30秒なのでサッとどうぞ。
 ※音無しでも大丈夫です、補足します

今作のパズルは、一言で言えば “スライドパズル” です。

縦と横の全てのマスがスライドする盤面(フィールド)を操作!一列動かすとその上の敵は全て移動するので、順番に注意!
限られた回数で敵をまとめて、マリオの直列攻撃 or 範囲攻撃で一網打尽だ!

‥‥みたいに書くと面白そう、というかまぁ、個人的にメカニカルパズルは好きなこともあって面白いんですが‥‥
問題は、毎回同じことの繰り返しでしかないという点です。

バトルが始まると、まずは時間内に盤面を整えます。終盤は分かりませんが、現在多くとも3回までしか動かしません。
敵を一列 or 手前2×2 の範囲に整列し、攻撃方法を二種類(直列攻撃/2×2範囲攻撃)から選択。
タイミングよくボタンを押して敵を撃破。

ザコ敵とのバトルは頻繁に発生しますが、毎回これで終わりです。盤面の整理に失敗しない限り、敵のターンに回ることなく倒しきるのでダメージも受けません。
(タイミングよくボタンを押してダメージ増という要素はあります。ただこれも簡単)
盤面の操作が難しくなることもあるためダメージを受けることもありますが、結局 “スライドパズルを成功させるか失敗するか” の二分になってしまっているんですよね。

私がシステムから想像していたのは、

  • たくさん出てくる敵をどのようにまとめて攻撃するかという戦略性
  • プレイヤーなりの戦い方、色々なクリア方法の存在

といった要素でした。数ある撃破パターンの中で最適解を探す、みたいな。
現状、正解が基本1パターンしかないスライドパズルを解ければノーダメージ、解けなければピンチという感じです。

当然どんなRPGでも、バトルの行動に最適解(ベストな選択肢)は存在するわけですが、普通はプレイヤーに対して「いやー間違っちゃったねー」なんてテンションの下がることを伝えてきたりはしません
誰をどう攻撃するのか。MPを節約して戦うか、HPを優先してボスまで高威力の技で突破し続けるかはプレイヤーの自由なスタイルであり、それが正しかったかどうかというのはバトル直後には普通わからないわけです
行動を比較し考えて進めるのが難しく、先がどうなるかわからない不安もある。だからこそやり切った時の没入感、達成感があるわけですね。

正直なところこのシステムが苦痛で、プレイ序盤からちょっとテンションが下がりました。
繰り返しますが私はメカニカルパズルが得意です。
でもメカニカルパズルをひたすら解きたければ、専用のゲームで遊びます。
 

ちなみに今作は経験値という概念が無く、バトルに勝っても、色々なことに使えるコインが手に入るだけです。
コインはマップ上など様々なところで手に入るので、ザコ戦を繰り返す価値は余計に薄くなっています。

ザコ戦は回避していけるように

このゲームはシンボルエンカウントを採用しており、マップ上を歩いている敵に接触することでバトルが始まります。
ハンマーを当てたりジャンプで踏んで接触することで先制攻撃が行えるのですが、最初のボスを倒してからは、特に弱いザコであればバトルせずに倒せるように

と言いつつ、ゲームを進めていくと、バトルせずに済む相手はあまりいなくなるんですけどね‥‥そして敵のHPが見えないので、先制攻撃してもよくわからない。
ちなみに「逃げる」コマンドもありますが、かなり失敗します。
 
バトルについて色々悪く言っていますが、以下に良かった部分をたくさん書いていきますね。
  

ボス戦はパターンが増加、楽しく評判も上々

ボス戦は、どうやら毎回特殊な展開になるようです。
最初のボス戦を簡単に紹介しますので、ネタバレでも良いという方は以下のタブをタップ or クリックで開いてご覧ください。

 
ネタバレのタブ内でも書いていますが、ボス戦では自分なりの戦略性を考えてクリアを目指す楽しさがあります。
ボスによって様々なギミックもあり、ガードのタイミングもシビアだったりと緊張感が良い。ジャイロを用いたボスバトル専用の挙動もありますし、手が込んでいますね。

ザコ戦や道中が苦痛でボス戦が楽しい、というのは仁王2を思い出します‥‥
 

紙の世界ならではの直感的なマップ探索

上の方でも少し書いてますが、マップが紙でできていることもあり
お子様でも直感的にマップ探索を行えると思います。
というか難しい場合は常にヒントが見られますしね。

コントローラのジャイロ操作で、怪しいところを探して掴んだり‥‥
 

 
壊れてしまった壁や地面に折り紙をまいて、元通りにさせたり‥‥
 

他にも小さな穴に何かが隠れていたり、お菓子の箱のようなキリトリ線をぺりぺりとめくれたり‥‥。
進行に悩んだ時は、よーく周りを見てみましょう。
わからなくなったらとりあえずハンマーで殴って回るのもアリです(笑)
 
あと、マップ上に小さく折られたり丸められたりと、大量のキノピオたちが可哀想な隠され方をしています。
助けておくとバトルで困った時に助けてもらえるので、念のために彼らをしっかり探しておきましょう
というか探して回るのがシンプルに楽しいです。近くにいると音が鳴るアイテムをゲットしたのですが、音が鳴ってるのに見つからないキノピオがいたりとやりごたえがありそう。
 

やりごたえのある謎解きと優しい気持ち良さ

難しいとは言いませんが、大人でもやりごたえのある謎解きが楽しめます。
中盤以降はマップの隅々をしっかり確認し、キャラの発言を気にしながら、一つ一つ目の前の問題を解決していかなければなりません。

プレイヤーへのヒントの与え方や視線誘導などが良くできており、ゲーム側から上から目線で伝えられるのではなく、プレイヤーが「これはきっと〇〇だ!」と自分で気付ける気持ち良いデザインなんですね。
逆に、視線などの誘導に釣られて引っかかってしまい、答えを見つけるまで手間取ることもあるかもしれません。フフフ。
子供がメインターゲットなので「どこが気持ち良いんだ簡単じゃねーか」という方もいるとは思いますが、そこは雰囲気を楽しみましょう。

また上の方でも一度書きましたが、何をすれば良いのかわからなくなってしまった場合も、同行中のキャラクターからアドバイスを貰うことが可能です。
 

アクション要素やミニゲームも多彩

ネタバレになるので簡単なお話にしておきますが、ストーリーの道中には様々なミニゲームやアクション操作が入ってきます。
世界観にマッチしたちょっとしたお楽しみ要素が息抜きであり、やり込み要素でもあるわけですね。

更にボスバトルの中には、パズルバトルではなくアクションバトルで進行するものも。
タイミングよくジャンプで回避しハンマー攻撃!従来のマリオシリーズを思い出します。
 

みんな仲良しなのが良い。平和?な世界とストーリー

今回の敵は、オリガミ王国のオリー王です。
クッパやその仲間たちは何も悪く無いどころか被害者で、今回巻き込まれたのも、マリオたちと同様にピーチからお祭りの招待を受けていたから。
普通に仲良く会話しているのがほっこりします。

クッパ一味って何だかんだ憎めないポジションにいるので、こういう展開は個人的に嬉しいです。
紙の暖かさのある世界で癒されましょう。

そして、涙なしには見られない展開も‥‥?
 

ベンチに座って回復しているだけであり、決して浮気ではありません

セーブデータは2つ以上

自分がセーブデータを2つ扱っているわけではないのですが、二回目以降のプレイ開始時に
プレイするアカウントの選択が発生しました。
おそらくアカウントさえあればそれぞれのプレイデータを保持でき、手軽に切り替えて遊べるものと思われます。楽で良いですね。
 

ザコ戦以外は大満足の評価

まだラスボス前だったりするのですが、ザコ戦以外は探索もボス戦もとても楽しめています。マリオシリーズが好きな方であれば、プレイを検討しても良いのではないでしょうか。

しかし面白いからこそザコ戦の作りが残念‥‥開発スタッフもストレスになることは理解できていたと思うのですが‥‥。

何か新たな発見などあれば追記しますね。
ちなみに今はオンラインコード版(DL版)の方が安いようです。買われる方はお好きな方をどうぞ。

(各種ボタンは記事の一番下へ)

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