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ゲームクリエイターが見た地獄~ゲームが好きだからこそ辛いこと~

2020 8/27
ゲームクリエイターが見た地獄~ゲームが好きだからこそ辛いこと~

先日、『学生が“ゲームクリエイター”になるということ』という記事で
ゲームのファン」と、「職業としてのゲームクリエイター」との意識の違いについて書きました。
 

そんな直後ですが、ゲームが好きだからこそ作っていて辛いという経験を思い出したので
ちょっと近いネタとして書き残してみようかと。

あまり人前で話さないのですが
【大好きなシリーズに携わった時が、クリエイター人生で一番辛かった】
という経験についても長めに触れています。
何年前かなぁ、というのは流石に言わないでおきますが、結構前。私の能力もまだまだ足りなかった頃のお話です。

それではどうぞ。

目次

開発はキレイ事だけでは進まない

これは、特に若いクリエイター。ゲーム業界に入って面白いゲームを作るぞ!と意気込んでいる人に発生しやすい悩みだと思います。
面白い機能を詰め込むぞ!
ユーザーが喜ぶことを全部やるぞ!
いい心がけです。
若手だけではなく、きっと関係者全員がそう意気込んで、開発を始める事でしょう。

ただ、ゲーム開発は『仕事』です。
気持ちだけではどうにもならないことが、どんどん壁となって目の前に現れます。

プロの仕事は「期限内で可能な限り、面白くすること」

ゲーム開発は、繰り返しますが『仕事』です。
自由に作ることが可能な、個人製作タイトルではありません。
つまり何かと言うと、開発にかけられる予算が最初の時点で決まっています
 ※状況次第で変動あり

大きいのは、というか大半が人件費です。会社員を雇うのには、給料以外にも一人一人の保険料などがかかるため、一人につき給料の数倍の人件費がかかったりします。
会社によって計算は多少違いますが、計算しやすく1人100万円の人件費(一ヵ月)がかかるとしますと
たった10人のチームでも、全員が一ヵ月フルで働くことでその月の開発費は1000万円となります。

更に声優さんだったり、サウンドだったり、社外に発注する場合は追加費用がかかるわけですね。

開発が始まる時点で、予算が決まっている。多くの場合はリリース時期も大体決まっている。
そうすると自ずと、リリースまでの期間にどれだけの人数を開発に充てられるのかが計算できます。
その人数と期間(期限)で、どれだけの機能を実装できるだろう?どうしたら面白くできるだろう?と
プロデューサーやディレクターが苦悩するんですね。
見出しの「期限内で可能な限り、面白くすること」です。

開発者が全て納得して、ゲームがリリースされることは少ない

前述のとおり、開発には期限が決まっています。
入れたい機能、ステージなどの遊べる範囲、その他色々の実装項目については優先度が定められ、その順に実装していくわけです。

しかしながら、実装して試さないと問題点を見つけるのは大変だったりしまして‥‥ゲーム開発というのは仕様変更もよくある話で、良くするための大規模修正が起きたりすると、どんどん期限が削られていきます

スケジュールを決める際は修正期間も想定して余裕を持たせておくものです。
最高クオリティを求めるとキリがないですが、期間内で綺麗に作り切ることを目指していきます。

もしスケジュールが圧迫されていくとどうなるか?
元々入れる予定だった機能の中から、ゲーム内の優先度が低いとされるものの実装を、見送ることになります。

リリースを延期するほどの費用対効果がある実装内容や、大きな不具合修正であればともかく
優先度の低い内容のために延期はそうそう行いません。
こういう時、「リリースしてからアップデートすればいいよ」という判断が下されます。
アプデって嫌な文化ですね、未完成で出しちゃうんですもん。
 ※勿論良い部分もたくさんありますよ

そんなこんなで、「本当はもっとあーだこーだ‥‥」という後悔がチーム内に生まれつつ、作品が世に出てしまうことも多いのです。
結果、外から見ていても『強引にでも延期して、満足いくまで開発しきってからリリースしておけば‥‥』と思わざるを得ないタイトルは沢山あります。
他人事ではないのですが、もったいない話です。

あとそうそう。
アニメの版権タイトルなど、リリースを他のコンテンツに合わせる必要がある場合も、中々期限を延ばすわけにいかず苦労するパターンです。
とは言え短期的な延期ならちょいちょい身の回りで経験してまして
アニメの放送開始に合わせる予定が、クオリティを重視して放送中や放送終了付近リリースになる‥‥というのは個人的にも経験がありますね。

憧れのゲームの開発に関われるのは、本当に幸せか?

えぇと、こんな見出しにしておいてアレですが、基本的には幸せだと思います。
ここから書くのは、大好きな作品だからこそ死ぬほど辛かったという真逆の思い出です。

私は何度か、人気タイトルのシリーズタイトルに携わったことがあります。
その中で特に思い出深いのが
会社で一番、そのシリーズに詳しい自信がある」とアピールしていたことでメンバーに加えられた、大好きなゲームの久々の新作です。

呼ばれた時は非常に嬉しかったですし、「俺が出来る限りのことを伝えよう!ファンが喜んでくれるものを世に出すんだ!」とテンションは最高潮でした。
しかし、クリエイター人生で一番辛い時期になりました。
 

好きな作品が大きく変わってしまった絶望感

その仕事をやっていた時の勤め先は、ディベロッパー(開発会社)という立ち位置で
皆さんも名前をよく知るような会社から、開発依頼を受けて仕事をしていました。
その会社の方がプロデューサーだったのですが、なんとなんと
プロデューサーが開発タイトルの過去シリーズを遊んだことが無いという衝撃の事実。
 
私が参加した時点でそこそこ開発は進んでおり、アドバイザーという役割もあったので、その時点の内容に驚愕しつつ色々と意見を出しました。
だって。その時点で考えられていたゲーム内容ってば、
そのシリーズが人気になった理由となる要素が軒並み削除され、大きく違う遊びになっていたのです。
基本のシステムも大きく変わってしまいました。何故過去作がファンに長年愛されたのか、新プロデューサーは理解できていません。
もはや別の何かです。ハードが変わったからってそんなのあるか。

必死にゲームの良さユーザーが築いてきたゲームとの関係などを整理し、どうにかしようとアピールしました。
でも、結果として何も得られません。
社内のトップの方は理解してくれつつ、ネックはプロデューサーの意向です。その時の勤め先は受託開発の会社なので、仕事をくれる立場(取引先)の人がどうしても偉いのです。仕方ない。なんてこった。

段々と嫌な思い出のせいか書き方が雑になってきましたが‥‥。
そんなこんなで、新しい基本の遊び方に吐き気を催しつつ、絶望的な気持ちになりながらも「このシステムの中でも、何とか提案できるモノは無いか」と模索する日々が続きます。
 

好きな作品が死んでいくのを、“ファン”の最前線にいるのに止められない

模索し続け、細かな部分であれば提案は通してもらえていました。
ただどうしても、違うんです。テストプレイしていても、どうしてこうなったのかよくわからなくなってきます。

ゲームの開発中は、ユーザーが遊んでくれている姿を想像するものなんですよね。
それは、クオリティを上げるためのちゃんとした想像であり、「楽しんで欲しいな」というただの妄想でもあります。

ではこのゲームはどうなのか。
ユーザーの反応を想像した時、心が辛くてたまらなくなりました。
新作が出ると知って大喜びのユーザーが期待しているのは、こんなのじゃない。
期待を裏切る侮辱的な行為でしかない。

会社で何度胃が痛くなり、何度泣きそうになったことか。
書いてて今もまた胃が痛くなってきました。びっくりです。

そんな事態を回避させられるかもしれないポジションに、自分はいたんです。
でも、何もできなかった。
色々と悩みが積もり積もった結果、健康体だったはずの私は胃を悪くし、通院する羽目になってしまいました。
それくらい、辛いことだったんです。
その後、心配してくれた上司の相談もあり、私は自分の意志でプロジェクトを外れることになりました。

好きなジャンルは、楽しさ辛さが紙一重

上記のタイトルは、結果既存のファンから大いに呆れられ、悲しませる結果となりました。今でも胃が痛いです。
ちなみにユーザーの反応は私が叫んでいた内容と合致していたので、社内での評価は上がりました(笑)

ただ、好きなタイトル、好きなジャンルに携われるのは、余程酷くない限りは基本とても楽しいですよ。
こういう例もある、ということを知っておくだけで、心構えが出来るので書かせて頂きましたが
もし好きなジャンルに挑戦するチャンスがあれば、まずは挑んでみる方向で考えてみましょう。活躍する絶好の機会です。
 

2+

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 匿名 より:

    最高 ありがとう

    0
    • 管理人 より:

      コメントありがとうございます。
      辛かった思い出ではありますが、話のネタとして楽しんでもらえたのであれば
      私としても有難い限りです。

      0

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