学生とゲームクリエイターの違いは何なのか。
今年もちょこちょこと学生さんの前でお話する機会がありまして。
就職活動を意識し始める時期なので、やっぱり基本の質問が増えますよね。
就職するには何が大事ですか?
学生時代にやっておくべきことは何ですか?
などなど。
ここでお話する内容は、企画を考える、ゲームを作る上で非常に大事な “意識” に関する問題です。
そのため就職活動はもちろん、就職してからも憶えていて欲しいですね。
学生に伝えていく中で、こういう話はあまりされてないみたいだなぁと感じたこともあり、文章として残しておこうと思った次第です。
いかん。文章が固い。ゆるく読んでね。
「今のキミはただのゲームファン」
ゲーム業界に入ろうとするくらいなので、皆さんはゲームが大好きだと思います。
(例外もあるかと思いますが一旦置いておきます)
それはもちろん、とても良いことです。
ゲームを遊んで、これが楽しいあれがつまらない
「あのキャラクターが可愛い」「ストーリーがマジ泣けるわー」などなどなど
友人たちと感動を共有するのは楽しいですよね。
でも、そこで意識が止まっていませんか?
大事なのは、その一つ先です。
ゲームの感想を言うだけなら、ただのファンでも出来る
ゲームを仕事として扱っていく以上、ゲームとしっかり向き合わなければいけません。
別にずっとクソ真面目に向き合えという話ではなく、楽しむ部分は楽しみつつ、分析し、自分の知識として活かしていくことが大事になるという話ですね。
面白いね! ⇒ 何がどう面白かった?面白く感じた「理由」は?
その面白いと感じた部分は、誰が遊んでも面白いと感じる?
つまらない! ⇒ どうしてそう感じた?何にストレスを感じてしまった?
自分の好みや思い込みに引っ張られて感情的になってない?
気持ちいい! ⇒ 操作性やゲームのデザインでそう感じさせてくれているはず。
どんな要素だと思う?
上記はかなり大雑把な感情を例としているので、これが全てではないですが‥‥
ゲームを通じて様々な感情が湧いて出てきたのなら、どういう仕様で、どういう要素のおかげでそう感じたのか思考を巡らせてみましょう。
理由を自分の言葉でまとめられるのが、最低限の第一歩です。
でもまとめられたところで満足せず。次を目指しましょう。
ゲームの仕様には理由がある
自分視点の考え方は止めよう
ゲームを遊んでいるファンの人たちは、恐らく誰もがこういうことを考えたことがあるはず。
ここは〇〇にした方が絶対良かった!
なぜ××なの?おかしい!△△にするべき!
というような、ゲーム内容(仕様)に対しての不満というやつですね。
人というのは負の感情の方が出やすいので仕方ないです。というか僕もこういうことを思ってしまうことはよくあります。
ここで、「じゃあどうしてこんな仕様になっているんだろう?」と
一度落ち着いて考えられるようになりましょう。
ゲームクリエイターの皆さんは、普通の会社員なので身近に感じるところがあるのかもしれませんが
ゲームに関しては何だかんだとプロです。ゲームを作ってご飯を食べています。
基本的に、全ての仕様にはちゃんと考えられた理由があるのです。(正解かは置いといて)
まぁレベルの低い会社も乱立されていたり、同じ会社でも開発チームによるので一概には言えないんですけどねー。。。。
基本的にではありますが、遊びの内容、画面の構成、ゲームのバランスなど全てにおいて、何かしらの理由があってそうなっています。
ユーザー心理や遊びの導線、目線の動きや操作のしやすさなど色々な考えが詰まっているのです。
ゲームを遊びながら、ただ楽しむだけでなくこういった点にも注意してほしいですね。
本当に間違っている仕様だとして、「どういう意図でこういう実装にしたんだろう?」と考える癖をつけることは、自身が同じ立場になった時に役に立つでしょう。
ただやはり、しっかり計算された理由以外にも、あまり考えられていない理由や、ゲームとしては好ましくないけど大人の都合で決まった理由‥‥など様々な決まり方があり、そういったものは考えても悩み続けるだけです。
考える事の特訓を行うなら、まずは評価の高いゲームがオススメですね。
例えば、コンシューマゲームなら『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』などとても良いと思います。
フィールドデザインの設計意図その他について、業界向けカンファレンスであるCEDECでも語られているので、プレイした上で読んでみると楽しめるかと。
[CEDEC 2017]「ゼルダの伝説BotW」の完璧なゲーム世界は,任天堂の開発スタイルが変わったからこそ生まれた
https://www.4gamer.net/games/341/G034168/20170901120/
『パズル&ドラゴンズ』のパズルマス数なんかも、有名なお話ですね。
初期リリースの時点で、開発終盤まで 6×5 と 7×6 で悩んでいたようですが
プロデューサーの奥様(ゲーマーではない)のレビューを参考に、「小さいと誤操作してしまいやすい」などの問題点を見つけ、6×5 マスにしています。
パズル&ドラゴンズ が出た直後は色々なパク‥‥オマージュしたゲームがたくさん世に溢れました。しかしマス数やゲームの流れ、画面構成などについて「どうしてこの仕様なのか」を考えていなかったのか
ザックリ真似した上で独自性を出そう!としたゲームが多かったですよね。そして悉く失敗していきました。
パズル&ドラゴンズ は後から 7×6 マスが追加されましたが、スマートフォンの大型化やユーザーレベルの上昇などもあり、しっかり考えられたタイミングだったのではないでしょうか。
身の回りの色々な「理由」
Nintendo Switch のカードは何故苦い?
トレーニングとしては、ゲームに限らず身近なものに目を向けるのも効果的です。
人間が準備したモノ、事って大体何かしら理由があるんですよね。
Nintendo Switch のゲームカードが苦いってご存知ですか?デナトニウムベンゾエイトという苦みの成分を塗っているんですが、あの任天堂が意味もなくそんなことはしません。少し理由を考えてみてください。
‥‥
‥‥‥
‥‥‥‥
わかりましたか?
これは、小さい子供が口に含んでしまった際、吐き出してくれるように苦くしているんです。
公式には明言していませんが、広報担当者さんのコメントからしてこの認識で問題ないかと思います
他にも例えば、 お城の周囲に堀があって水が流れているのは、敵の侵入を防ぎ迎撃するためだったり
炭酸飲料のペットボトルがどれも丸みを帯びているのは、炭酸ガスに対応した構造を作るためだったり
鉛筆の形が様々なのも、使い勝手や各鉛筆の種類に合わせたものだったり。
理由を知るのって楽しいですよね。
知育としても大事です
簡単にですが、物事の理由を考える事の大切さについて書き連ねてみました。
一歩引いた視点で考えられるようになれば、自身の就活や就職後の成長にもつながっていくはずですし
他人の言動に対しても理由や意図を考えるようにしていければ、思いやりを持った大人になれると思います。個人的には、小学生くらいの子の知育としても良い題材な気がしてるんですけども。
そんなわけで、少しずつでも意識してみてくださいねー。
ユーザー視点で考える癖付け、頑張りましょう。
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